アニメDVDビジネスは破綻している。

アニメというかテレビは無料で見るものという常識が蔓延っている。
いつまで経っても情報に金を払わない仕組みを提供しつづけている。
そもそも、ソフトビジネスはDVDなどのハードパッケージ化する必要が薄く、
保存性やコレクション性の観点でしかDVDを購入するメリットはない。
利便性の観点から言えば、ネットからダウンロードすれば手軽に見れるわけですし。
つまり、「DVDを買う」というのは視聴者全体の一部のコアユーザによるものです。
コアユーザを掴むために、初動で数を出すように過剰な初回特典をつけて
パッケージにプレミアム感を付けて早急にリターンを出すようにしている。
(偽・うpのギョーカイ時事放談SUPER!第14回より)
というのが現状のアニメ業界なのです。


このビジネススタイルが破綻しているという話題が出てきました。
アニメハードパッケージ(DVD)の市場規模はほぼ横ばいで
作品数は多いままで推移している。売れる作品は売れている。
しかし、採算性の合わないつまり赤字作品が多くなっているそうなのだ。


DVDが売れない。特に、DVDの後期の方の巻は売れないみたいだ。
ショートクールの作品が激増したのはDVDの発巻数を減らすための対策なのだが
それでも作品を最初から最後まで買ってくれなくなっている。
また、違法アップロードや動画サイトの存在も大きいだろう。
「DVDを買わない」層であるライトユーザがニコニコ動画などを見て
「DVDを買う」層であるコアユーザにシフトするということもないようだ。
逆に「DVDを買う」層であるコアユーザが「DVDを買わない」層である
ライトユーザになってしまうということが生じている可能性があるようだ。
作品の質の低下という問題もあるのだが、違法アップロードなど多角的要因が原因であろう。
また、DVDはHDより画質に劣るという点もコアユーザからしてもマイナスポイントであろう。


しかし、アニメの本数を減らせないのか・・・という声がネットで多く出ている。
これは無理だろう。百社以上存在するアニメ製作会社が喰っていくためには
ロングクールの作品を受注するか、ショートクールの作品を乱発するしかない。
あまりにショートクールの作品が増えすぎたので、作品数は増えているのだと思う。
ロングクールを製作する体力のある製作会社は実際のところ数は少ない。
また、ロングクールの作品は非常にリスクが高い。
アニメのテレビ枠が相対的に格段に増大しているわけではないのではないかと思う。
(夕方のアニメ枠が深夜枠に移動してはいるが・・・量的に増えているようには思えない)
製作側からすればショートクールのアニメを連発すれば、リスクは少なくて済む。
ただ、サブプライムローンと同じで、市場全体が沈めば無駄である。
リスクを細切れにしておいても、やはりリターンは確保できない。
ロングクールのオリジナルアニメという選択肢も残されている。グレンラガンなどの実験作もそこそこ出ている。


個人的にはアニメビジネスは株や証券と同じでいつか破綻してしまうと思う。
金融手法と同じでリスクを細切れにするような様々な手法が近年見出されて
市場は拡大か横ばいで推移してきた。しかし、それも限界に来ている。
作品の質の向上という点は別問題とした上でビジネスモデルの破綻を前提にしなければならない。
ネット配信や製作会社が直接版権管理するような作品を模索しているがなかなか上手くはいっていないようだ。
資金的にも問題が多い。メディアミックス以外にもアニメ製作会社が儲かる仕組みを作らなければならない。
つまり、新しいビジネスモデルを模索すべきという点は同意したい。